【塩の人】塩で高血圧が治る!は本当か。

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塩の人

皆さんは、ツイッターで有名になったいわゆる「塩の人」を知っていますか?

この方は管理栄養士を名乗り、塩水療法で體の不調が治るなどといった情報を発信しているアカウントです。

ちなみに塩水療法とは、2Lの水に天然塩5g~とにがり5㏄~を混ぜ合わせたものを1日で飲み切るといったもののようです。加える塩とにがりの量は人それぞれで、體が欲する量を各自加えることを推奨しています。

さらにtwitter上でこのようなことを発信しています。

・高血圧は塩水療法で治る。減塩していると血圧が上がる。
・アトピーは塩水療法で治る。
・花粉症は塩水療法で治る。
・乾燥肌は塩水療法で治る。
・全身の湿疹は塩水療法で治る。
・便秘は塩水療法で治る。
・手足の冷えは塩水療法で治る。

このように、従来の治療法とは真逆の効果や根拠が不明確な内容が含まれているため、医クラ界隈からの批判が殺到しました。

それもそうですよね。本当に治療が必要な人がもし、これらの情報を信じてしまい実践して命に関わるような健康被害につながってしまったら大変なことになってしまいます。

毎日責任をもって患者さんと真剣に向き合っているドクターたちからしたら怒りたくなるのも分かります。

さらにこの塩の人は、批判コメントはガン無視し、批判したアカウントを徹底的にブロックし始めたためそれでもさらに炎上しました。

しかし、塩の人からブロックされた人は医療従事者と認められたことになるため、逆にブロックされたいアカウントが現れるという不思議な現象も起きたのでした。(笑)

では、本当に塩を摂取することで人は健康になれるのか減塩は本当に必要なのか検証していきましょう。

日本人の食塩摂取量

人は普通に食事を摂っていれば塩分が不足することはありません。

令和元年国民健康・栄養調査では、日本人の食塩摂取量の平均値は以下の通りでした。

性別食塩摂取量の平均値
男性10.9g/日
女性9.3g/日
令和元年国民健康・栄養調査

男性で10.9g/日、女性で9.3g/日と1日にこんなにも食塩を摂っていることが分かったのです。

では食塩は1日あたりどのくらいに抑えるのが良いのでしょうか。

1日あたりの推奨量は、WHO(世界保健機構)で5.0g未満日本高血圧学会の高血圧治療ガイドラインでは6.0g未満日本人の食事摂取基準(2020年版)では男性7.5g、女性6.5gとなっています。

私たちは1日に10g程度の食塩を摂っていますから、推奨量に対して食塩を摂りすぎているということが言えますね。

家系ラーメン1杯の塩分量は7~8gもありますのでスープまで全部飲んでしまえばこれだけで1日の推奨量を超えてしまいます。

それだけ塩分は簡単に摂取できるのに対し、減塩はかなり難しいのです。

ましてや、1日に5g入れた塩水を摂れば、それだけでWHOの推奨量5g/日未満を満たしてしまいます。

塩の人は塩分不足の方が心配と思っているようですが、大丈夫です。

日本人は十分すぎるくらい塩を摂取していますから、不足に心配するより減らすことを考えた方がよさそうです。

食塩の摂取過多による人体への影響

食塩の摂りすぎによる人体への影響はどのようなものがあるのでしょうか。

高血圧

まずパッと出てくるのが高血圧だと思います。

これは食塩の摂りすぎによって血液中のNa濃度が上昇し、それを薄めるために血液量が増えることで血圧が上がるというメカリズムになっています。

高血圧を放っておくと、血管が破けるといったリスクもある恐ろしい病気なのです。

一般に、年をとるにつれて血圧は上昇しますので私は大丈夫!とは思わず、将来なるかもしれない病気の予防のために、若いうちから減塩を意識した食生活を身につけておくと良いでしょう。

脳卒中・心筋梗塞

次に挙げられるのが脳卒中や心筋梗塞などの循環器疾患です。高齢者の死因ランキングでも常に上位の疾患です。

脳卒中とは、脳の血管が急に破れたり、詰まったりして脳の血液の循環に障害をきたし、様々な症状を起こす病気です。血管が破ける脳出血と血管が詰まる脳梗塞に大別されます。

心筋梗塞とは、血栓により突然心臓の動脈が閉塞して発症し、重篤な結果を引き起こす疾患です。

いずれも、高血圧が原因になることはもちろん、そのほか脂質異常症、糖尿病、肥満、喫煙など様々な生活習慣病が原因となって起こるとされています。

また、食塩摂取量の多い人で脳卒中・心筋梗塞になるリスクが上がったというエビデンスもありますし、治療ガイドラインにも減塩は必要だと明記されています。

心不全

心不全とは、なんらかの心臓機能障害、すなわち、心臓に器質的および機能的異常が生じて心ポンプ機能の代償機転が破綻した結果、呼吸困難・倦怠感や浮腫が出現し、それに伴い運動耐容能が低下する臨床症候群と定義されています。

つまり、心臓の動きが悪いために、呼吸状態が悪くなったり、むくみが生じたりして全身の機能が低下してしまう病気です。

「減塩が心不全の予防になる」ということに科学的根拠は示されていないようですが、心不全の悪化を防ぐためには減塩が必須となっています。

心不全は心臓の血液拍出量が低下し、全身に十分な血液を送り出せない状態です。

すると肺や身体の様々な部位に血液がたまっていってしまいます。(これがうっ血性心不全といいます)

血液量は、血中Na濃度で決まり、体内に食塩が入るほど血液量(細胞外液量)が増え、うっ血が悪化すると考えられていることから、減塩が必須とされているのです。

減塩は本当に必要か!?

ここで減塩は必要なのか。の問いに戻りますが、高血圧、脳卒中、心筋梗塞の予防のために減塩は必要といえます。心不全の治療のためにも減塩が現時点ではオススメです。

塩水療法によって「高血圧が治る」や「便秘が治る」「アトピーが治る」といった話には全く科学的根拠がありませんので、こういった情報には注意しましょう。

彼らが言っている塩水療法の効果は、天然塩に含まれるミネラルによるものと考えられます。確かにミネラルの一つであるマグネシウムには便秘に効果があると言われています。

しかし、ミネラル豊富な天然塩といってもそのほとんどはNaCl(塩)には変わりありませんので、塩分の過剰摂取につながってしまいます。

わざわざ、塩水を飲む必要はありません。

まとめ

以上のことから、塩で高血圧が治るというのは現時点ではデマという結論に至ります。

ネットの誤った情報に左右されて生活習慣や治療方針を間違えれば、大変なことになりかねません。最悪の場合、命に関わることも…。

しかし、情報発信者は何も責任を取ってくれません。

こういった怪しい健康法などを見たら、まず科学的根拠があるのか調べてみましょう。

また、情報発信している人は何か商品を売っていないか確認しましょう。プロフィールに楽天ルームを貼っていませんか?お金稼ぎが目的かもしれませんよ!

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この記事を書いた人

田村未来 田村未来 サイト運営者

田村未来
元プロバスケ選手の管理栄養士、スポーツ栄養士、2児の母
当サイトの管理人

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