【パリ五輪】女子バスケ日本代表の栄養管理

田村

今回は、ENEOSサンフラワーズのチーフマネージャーでパリ五輪女子バスケ日本代表のマネージャーを務めた管理栄養士の小松佳緒里さんにパリ五輪での栄養管理について聞いてみました。海外遠征に行く選手にはぜひ読んでいただき参考にしてほしい内容となっています。

パリ入りの前に滞在したランスでの食事

——パリ五輪での食事はどのようにしていましたか?

「パリに入る前にランスというところに滞在してたんですけど、そこのホテルのシェフは凄く良い人で『日本チームのために何か作ってあげたいんだ!日本にはどんな料理があるの?』と言ってくれて肉じゃがの画像を見せながらリクエストしたら作ってくれたりしました。ポトフみたいな感じになったんですけどね(笑)」

ポトフみたいな肉じゃが

「豆腐をリクエストしたら豆腐っぽいのを買ってきてくれたこともありましたね。あと『日本人は海苔を沢山食べるから海苔のスープにしたよ』と言って作ってくれたり、『海苔飽きた!』と言ったら卵スープにしてくれたり本当にいろいろ頑張ってくれましたね。」

海苔のスープ

卵スープ

↓その他ランスの食事

このように現地のシェフと良い関係性を作りコミュニケーションを取りながら食事の要望を伝えることも選手のコンディションを調整するうえで重要な仕事だ。

選手村での食事

——選手村での食事はどうでしたか?

「選手村の食事は正直あんまり美味しくなかったです。何が入ってるか分からない料理があったり得体のしれない香辛料みたいなものが入っていたり日本人には味がくどかったりしましたね。ただ、私たちバスケットボール競技は選手村の近くの一軒家をまるごと借りて日本のシェフ3人に日本食を作ってもらっていました。選手は選手村の食事とシェフの食事を選べるようにしていました。」

五輪期間はパリ全体がお休みモードになるため多くの人が自宅を貸し出してバカンスに行ってしまうそうだ。

選手村の食事

シェフの食事

「野菜や果物は選手村の方が種類が豊富だったので野菜、果物だけ選手村で食べて食事はシェフのところに行って食べる選手もいましたね。」

パリ五輪での補食

——パリ五輪ではどのようなものを補食に用意していましたか?

「私の部屋をオープンにしておいて、おにぎり、バナナ、レトルト食品、味噌汁、パウチの魚とかを棚に並べておいて、選手には自由に出入りして常に何かしらを食べられるようにしていました。なのでいつも誰かしら私の部屋にいて何か食べてましたね。(笑)あとは海外遠征の時は基本常におにぎりを握っています。もう一生分握ったと思います(笑)」

小松さんのおにぎり

レトルト食品はお湯を入れるだけで食べられる親子丼やお湯を入れたら何かになるシリーズは重量も軽いのでたくさん持って行ってましたね。缶詰だと重くてたくさん持って行けないので。」

日本から持参したもの

海外遠征で大変なこと

——海外遠征で大変なことはありましたか。

「一番大変なことは長期間いることによる飽きですかね。食べ慣れている納豆とかだと毎日食べても飽きる感覚はないじゃないですか。でも海外の食事は味が濃かったり似たような味付けだったりするので、1週間くらいしたら飽きちゃって食欲が落ちていく選手はいましたね。何でも食べられる選手ならいいですけど苦手なものがある選手だと全然食べられなくて大変そうでした。」

選手の食欲が落ちてしまうことはスタミナの低下やコンディション不良、ケガの原因にもなりうるため大問題だ。しかしそういったときの対策も用意していたそう。

「そういう時は現地の日本料理店を探してテイクアウトしたりしてました。あとは、味付けご飯を炊いたり、ちらし寿司の材料を持って行って皆でちらし寿司をやったりして飽きがこないように工夫してましたね。」

——日本代表で行ったヨルダンの食事が大変だったとか。

「ヨルダンの食事は基本全部カレー味だったんですよ(笑)ヨルダンのシェフも凄く頑張ってくれてたんですけど、食べたことないスパイスとか何が入っているか分からない得体の知れない料理が苦手な選手もいるので、『チキンは塩だけにして』ってお願いしたり日本人でも食べやすいようになるべくシンプルな味付けにしてもらっていました。」

ヨルダンの食事

写真提供:小松佳緒里さん

小松 佳緒里(Komatsu Kaori )

1994年秋田県生まれ。管理栄養士。小学3年生でバスケットボールを始め、中学時代には全国大会ベスト16を経験。地元の強豪・湯沢翔北高校では司令塔としてインターハイやウインターカップに出場。その後、東京医療保健大学へ進学。活躍が期待されたが2度のアキレス腱断裂に見舞われ、大学3年時にマネージャーへ転向。現在はENEOSサンフラワーズのチーフマネージャーを務める。また、2024年のパリオリンピックでは女子バスケットボール日本代表のマネージャーとしてチームを支え、国際舞台でも活躍している。

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