こんにちは。最近2歳の息子から「たんぱく質は何をいつどのくらい摂ればいいの?」と聞かれることが増えたため、今回はたんぱく質の摂り方について詳しく解説していきます。
こんな人に読んでほしい!
✔ たんぱく質の摂り方が分からない!
✔ 筋肉を効率よく増やしたい!
✔ たんぱく質とお友達になりたい!
たんぱく質は何を摂ればいいの?
良質なたんぱく質を摂ろう
たんぱく質は私たちの身体の材料となる栄養素です。
そのため、アスリートは良質なたんぱく質を積極的に摂取する必要があるのです。
ではどんなたんぱく質を摂ればよいのでしょうか。
アミノ酸スコアが100
それは、アミノ酸スコアが100のものです。
たんぱく質は20種類のアミノ酸から構成されていて、9種類の必須アミノ酸と11種類の非必須アミノ酸に分けられます。
必須アミノ酸(9種類)
・バリン
・ロイシン
・イソロイシン
・スレオニン
・メチオニン
・トリプトファン
・リジン
・ヒスチジン
・フェニルアラニン
非必須アミノ酸(11種類)
・アスパラギン酸
・アスパラギン
・グルタミン酸
・グルタミン
・システイン
・アルギニン
・セリン
・アラニン
・プロリン
・グリシン
・チロシン
非必須アミノ酸が体内で作り出すことができるのに対し、必須アミノ酸は体内で作り出すことが出来ません。
そのため、必須アミノ酸は必ず食べ物から摂取しなければならないのです。
では、どんなたんぱく質が良質なのかというと、アミノ酸スコアが100のものが「良質なたんぱく質」といえます。
アミノ酸スコアとは
必須アミノ酸が基準量を満たしているかどうかを数値化したもので、9種類全てがバランスよく揃っていればアミノ酸スコアは100となり、良質なたんぱく質ということになります。
アスリートが筋肉を増やすためには、必須アミノ酸がバランスよく揃っているもの、すなわちアミノ酸スコア100の食品を摂取することがひとつの重要なポイントとなります。
ではなぜ必須アミノ酸が重要なのか。その根拠となるこんな研究があるのでご紹介します。
20種類のアミノ酸サプリメントを摂取した群と9種類の必須アミノ酸のみのサプリメントを摂取した群で、摂取後の筋たんぱく質合成速度を比較しました。すると、筋たんぱく質の合成速度はほぼ同じだったのです。
このことから、筋たんぱく質合成には必須アミノ酸の影響が大きいことが明らかとなりました。
また、必須アミノ酸のなかでも注目したいのがBCAA(分岐鎖アミノ酸)というアミノ酸です。
なぜ重要かというと、他のアミノ酸が肝臓で代謝され利用されるのに対し、BCAAは筋肉で代謝され利用される(筋肉の材料となる)からです。
BCAAのなかでもロイシンは筋たんぱく質合成に大きく貢献してくれます。
筋たんぱく質の材料となるだけでなく、合成速度の促進を活性化させてくれる働きもあるので、積極的に摂取したいアミノ酸です。
たんぱく質とアミノ酸スコア
良質なたんぱく質を摂るべきだと先述しましたが、ではどのような食品に良質なたんぱく質が含まれているのでしょうか。
主な食品のたんぱく質量とアミノ酸スコアをご紹介します。
食品(100g) | たんぱく質量 | アミノ酸スコア |
---|---|---|
卵 | 12g | 100 |
牛乳 | 3.3g | 100 |
牛肉 | 17g | 100 |
鶏肉 | 25g | 100 |
豚肉 | 14g | 100 |
アジ | 14g | 100 |
サケ | 22g | 100 |
マグロ | 23g | 100 |
大豆 | 33.5g | 100 |
ご飯 | 2.5g | 65 |
食パン | 9.0g | 44 |
動物性食品のアミノ酸スコアは100なのに対し、ご飯は65と低くなっています。
これはご飯に含まれる必須アミノ酸のうちリジンの量が65と低いためです。
アミノ酸スコアは、必須アミノ酸9種類のうち1種類でも基準に満たないものがあれば、その一番低い数値が基準となりその食品のアミノ酸スコアになってしまいます。
ご飯はリジンのスコアが65のため、他のアミノ酸のスコアが100でもご飯のアミノ酸スコアは65となってしまうわけです。
でも大丈夫!
つまり、ご飯に肉や魚料理を組み合わせることによってアミノ酸スコアのバランスが良くなり、体内で使われるアミノ酸量も上がるわけです。
たんぱく質はいつ摂ればいいの?
筋肥大のしくみ
実際、たんぱく質を摂取したら体内ではどのようにして筋肥大が起こるのでしょうか。
たんぱく質摂取のベストタイミングをお伝えする前に筋肥大のメカニズムについてお話していきます。
筋肥大メカニズムを5ステップに分けると以下のようになります。
①筋力トレーニングする。
②カルシウムイオンが放出され筋肥大スイッチがONになる。
③筋トレによる細胞内外の環境変化を細胞が瞬時に感知。
④環境変化に対応しようと必要なたんぱく質を作り始める。
⑤筋肥大が起こる。
筋力トレーニングをすることによって、筋小胞体という場所からカルシウムイオンが放出されます。
すると筋肥大スイッチがONになります。
筋トレによる身体への負荷は細胞にとって大きな刺激や環境変化です。細胞はそれをすぐさま感知し、必要なたんぱく質を作り出して環境変化に対応しようとします。
これが筋肥大につながるのです。
パンプアップ現象
ちなみに…
筋力トレーニングをしていると、
なんだか急に筋肉が大きくなった?
と感じることはないでしょうか?そう感じた方は正解です。
この現象にはちゃんとした科学的根拠があります。
筋力トレーニングをすると、骨格筋の細胞から乳酸などの代謝産物が血中に放出され、乳酸濃度が濃くなります。(浸透圧が上昇します)
体内の濃度はいつも一定に保とうと働きますので、乳酸が増えた細胞の濃度を薄めようと水分が集まってきます。
そのため一時的に細胞内が膨張し、筋肉が大きくなったように感じるのです。(感じるだけ)
たんぱく質摂取のベストなタイミングとは
では、筋肥大させるためには「いつ」たんぱく質を摂るのがベストなのでしょうか。
運動終了後、速やかにたんぱく質を摂取することで筋肥大が期待できます。
運動終了後は体内でのたんぱく質の感受性が高まっているため、このタイミングでたんぱく質を摂取することで筋肥大の効率がアップするのです。
これが、筋力トレーニングと食事はセットでなければ意味がないといわれる所以です。
ちなみにこの筋力トレーニングとたんぱく質摂取の相乗効果は運動終了後24時間持続することが分かっています。
24時間も相乗効果があるため、運動直後だけでなくその後の食事も大切にしたいですね。
一度で大量にたんぱく質を摂取してもいいの?
では、運動終了後、一度にどのくらいたんぱく質を摂取するのがいいのでしょうか。
運動終了後、一度の摂取で20~30gを目安に摂取することがいいとされています。
一度の摂取量は20~30gを目安に、1日のうち数回に分けて摂取するようにしましょう!
「食事は日々の積み重ねが大切」の理由
人間の身体はたんぱく質で出来ていると冒頭で説明しましたが、実はそのたんぱく質にも寿命があります。
寿命が来たたんぱく質は、たんぱく質分解酵素によってアミノ酸まで分解されます。
半減期とは、その名の通りその組織にあるたんぱく質が半分になるまでの期間のことをいいます。
たんぱく質の半減期は組織によって異なります。
例えば、
半年後に筋肉は半分入れ替わり、1年後にはほぼ新しい筋肉に入れ替わっているということです。
薬なら飲んだらすぐに効果が発揮されますが、食事に即効性がないのはこのような身体のしくみがあるためです。
すぐに効果が出たら、それはドーピングですね。
その日、1日だけ牛肉を死ぬほど食べたからといって、翌日にいきなり強靭な肉体に生まれ変わることはないということです。
だからこそ、食事は日々の積み重ねが大切!
半年後、1年後、あなたはどんな身体になっていたいですか?また、どんな選手になっていたいですか?
なりたいビジョンに近づくために近道はありません。
毎日の継続あるのみです!
たんぱく質は1日にどのくらい摂ればいいの?
たんぱく質の1日の摂取量
たんぱく質の1日の摂取量は、スポーツをしていない一般の人だと、体重1㎏あたり1.0g/日です。
アスリートの場合は、体重1㎏あたり1.2~2.0g/日と国際オリンピック委員会や国際スポーツ栄養学会などで公式に発表されています。
たんぱく質と一緒に摂取したい栄養素
運動直後にたんぱく質を摂取することで絶大な筋肥大効果を得られることは分かりましたが、実はもうひとつある栄養素と一緒に摂取することで筋肉に良いことが起きます。
運動や筋力トレーニングによって、筋たんぱく質の分解も進みます。
そこで糖質を摂取すると、糖質が筋たんぱく質の分解を抑制してくれるのです。
糖質はグリコーゲンとして骨格筋に貯蔵され筋肉のエネルギー源になるので、運動によって消費されたエネルギーをリカバリーするためにも、たんぱく質と一緒に糖質を摂取すると良いでしょう。
プロテインサプリメントの効果
働きながらスポーツをする社会人アスリートや、一人暮らしの大学生アスリートは毎食バランスの良い食事を準備することは困難だと思います。
私も現役時代はフルタイムで働きながらバスケも両立させる生活だったので、とにかく忙しくて時間がない日々でした。そんな中、食事バランスに留意して毎食揃えるなんておとぎ話のお花畑です。
そんな超多忙系アスリートは練習後帰宅してから食事の準備をしていると、一番筋たんぱく質の合成感度が高い時間帯を過ぎてしまいます。
そんな時は簡単に摂取できるプロテインサプリメントを利用しちゃいましょう!
プロテインには、カゼインプロテインとホエイプロテイン、大豆プロテインなどがあります。
それぞれの特徴をご紹介します。
カゼインプロテイン
消化吸収が緩やかで長時間をかけてゆっくり吸収されます。そのため就寝前に摂取することがおすすめです。
ホエイプロテイン
消化吸収がカゼインプロテインよりも速いのが特徴です。そのため運動後のリカバリーにおすすめです。
大豆プロテイン
カゼインプロテインと同様、消化吸収が緩やかで体内にゆっくり吸収されます。大豆サポニンが含まれているためコレステロールを下げてくれる働きがあり健康維持にも期待できます。
このようにそれぞれに特徴があるので、自分に合ったものを選ぶと良いでしょう。
まとめ
筋肥大のために、たんぱく質は「なにを」「いつ」「どのくらい」摂取するべきか解説しました。
以下にポイントをまとめましたので、ぜひこれらを食事の参考にしてみてください。
アミノ酸スコア100の良質なたんぱく質を摂ろう!
たんぱく質摂取のベストタイミングは、運動直後!
たんぱく質の半減期は180日。たくさんお肉を食べたからといってすぐに筋肉が劇的に増えるわけではない。毎日の積み重ねが大切!
1日のたんぱく質摂取量は体重1㎏あたり1.2g~2.0gが目安。
1回の摂取量は20~30gの範囲内。1日のうち数回に分けてこまめに摂取しよう!
たんぱく質だけでなく糖質も一緒に摂取してしっかりリカバリー!
忙しいアスリートはプロテインサプリメントも利用しよう!
アスリートの皆さんの日々の努力が実を結びますように!